FP技能士試験についてのまとめ


Twitterid:gothedistanceさんが節税についてお話されていたので「それならFPの資格がいいですよ〜」とpostしてみたところ、かなり興味を持たれた様子だったので、一応FP2級を持っている私めの経験からFPのわかりにくいところを中心にざっと解説してみようと思い、このエントリーを書いてみました。

FPとは


FPとはファイナンシャルプランナーのことであり、正式名称をファイナンシャルプランニング技能士といいます。一応国家資格で、お金について色んな分野にわたって学べます。
ややこしいのですが、CFP・AFPというものもあります。こちらは民間の資格なのですが、世界的な知名度はこちらの方が上です。

ファイナンシャルプランニング技能士(FP)とCFP・AFPの関係


両者が全く別のものならよかったのですが、微妙に関係しているためにどういう関係にあるのか最初はよくわかりません。そこで、どのような順番で資格を取れるのかを説明する形で解説してみようと思います。


FPの試験は、まずFP3級から始めます。ここがポイントなのですが、必ず3級から受けなければならず、いきなり2級から受験するということはできません*1

FP3級を取ってからの流れを図示するとこうなります。

FP3級→FP2級→FP1級
     ↓
     AFP →CFP


FP2級を取ればAFPの認定資格を得られ、提案書を提出して合格すればAFPの登録ができます。しかしAFP・CFPは2年ごとに更新しなければならず、その更新には一定の単位が必要だったり更新料がかかったりするので、これはあくまで私の考えですが、職業としてFPをするつもりがない限りFP2級を持っていれば十分だと思います。

FPの試験形式について


FPの2級・3級の試験には学科と実技があり、両方マークシート方式です。実技って何?と思われると思うのですが、問題形式が実際の相談に答えるようなものになっているだけで、ほとんど学科と一緒です。

両方とも6割以上で合格です。

ややこしいFP2級の試験について


実はFPの試験団体は2つありまして、これが話をややこしくしています。

試験団体には日本FP協会と金融財政事情研究会(以下金財)の2つがあり、3級はどっちも問題が一緒なのですが、2級の実技の問題形式が違うんです(試験範囲は同じ)。


〇FP2級:日本FP協会と金財の「実技」試験の違い(学科は同じ)

・資格名:FP協会→資産設計提案業務 金財→個人資産相談業務他
・問題数:FP協会→40問 金財→3問×5題=15問
・試験時間:FP協会→90分 金財→60分
・回答方式:FP協会→選択・記述 金財→選択・記述(計算過程も採点対象)


私は問題数が少ないと苦手なところが出た時に痛い目にあう可能性があるので、問題数の多いFP協会の方がリスクは少ないと思い、FP協会を選びました。金財の方は計算過程も採点対象なので、そこを狙ってみるのもいいかと思います。

FP2級と3級それぞれの勉強時間について


3級→20〜30時間でOK
2級→確実に受かろうと思ったら100時間、ギリギリでもいいなら50〜60時間


これは私の経験に基づいた数字です。私は2級は50時間程度しか勉強しなかったので、かなりギリギリでした。

受験料について


FP3級・・・6,000円
FP2級・・・8,700円

試験科目について


FP2級と3級の試験範囲は一緒です。ただし2級の方はかなり細かい知識まで問われます。

FPの試験科目は大きく分けて6つです。

1.ライフプランニングと資金計画
2.リスク管理
3.金融資産運用
4.タックスプランニング
5.不動産
6.相続・事業承継

1.ライフプランニングと資金計画


住宅ローンや教育資金など、将来の資金計画について学びます。社会保険(医療保険介護保険労災保険公的年金など)の仕組みもここで学びます。
2級では国民年金の額の計算の問題なんかが出たりするんですが、これが非常にやっかいです。

この分野の勉強をすると会社勤めをされている方は国民年金と厚生年金の関係なんかがわかってちょっと楽しいです。

2.リスク管理


ここでは主に生命保険と損害保険について学びます。

この分野の勉強をすると保険屋にだまされることがなくなるかもしれません。

3.金融資産運用


株式や投資信託について学びます。

この分野の勉強をすると経済系のニュースの意味がちょっとわかるようになって嬉しいです。

4.タックスプランニング


所得税について学びます。

この分野の勉強はめちゃめちゃ役に立ちます。ちなみに私がこれから経営に携わられるid:gothedistanceさんにFPをおすすめしたのは、この税金に関する勉強が経営において非常に役に立つからです。
というのは、税理士さんの仕事というのは実は「税務書類を作成すること」であって、「節税のアドバイスをすること」ではないのですね*2。なのでこちらから特にお願いしない限り、税理士さんや会計士さんは何も言ってくれないのです。しかし経営者の方が自ら「うちでこのような節税はできないですか?」と聞けば教えてくれるので、多少の知識を持っているだけで大きく節税できる可能性があるのです。


この分野を勉強するとなぜパートで働くお母さんは給料を年間103万までに抑えるのか?ということがわかったりして面白いです。ちなみに103万=基礎控除38万+給与所得控除65万です。

5.不動産


不動産に関する基礎知識を学びます。不動産の価格であったり、不動産の取引に関わる法律を知ったりしていると、将来家を建てたりするときに不動産屋さんとスムーズに話ができます。

セットバックや建坪(けんぺい)率に関する知識は非常に役に立ちます。

6.相続・事業承継


相続と遺産分割、相続税の基礎を学びます。特に相続税に関する部分は高齢のご両親を持つ方にとっては必須の知識でしょう。

FP2級では相続税の計算で泣くことになります・・・

勉強の仕方


2級・3級ともにテキストと問題集を1冊ずつやるだけで十分です。予備校に行く必要は全くありません。

私は色々な参考書を読み比べた結果、下にご紹介する2冊で2級も3級も一発で合格しました。



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試験団体であるきんざいが出している「パーフェクトFP技能士」というシリーズもあるのですが、これはかなり細かい知識まで書いてあり、そして何より問題なのは問題集が難しすぎるので、あまりお勧めしません。

上記の本は試験に出る知識だけに絞っており、どこを暗記すべきかをはっきり書いてくれているので、効率的に勉強したい方にはお勧めです。

総括


FPの資格で得られる知識は生きていく上で非常に役に立ちます。今のところ資格の中ではこれが一番お勧めです。何か資格を取りたいと迷っておられるのなら、とりあえずFPを取っておかれるといいと思います。

*1:保険会社や証券会社に勤めている場合は講習を受ける等で3級の受験を免除されることがあります

*2:顧問契約の内容によっては節税のアドバイスも契約内容になっていることはあります