「tsudaりノート術」は講義のノートの取り方としてベストな方法かもしれない。
twitterのヘビーユーザーでない方にはいきなり置いてけぼりなタイトルですが、「tsudaる」というのは、津田大介さん(@tsuda)がいろんな講演会の内容をtwitterで中継していたことから、twitterで実況中継することをこのように呼んでいます。
本日、私は京都大学の民法の教授をされている松岡久和教授の『民法の学び方』という講演会をtsudaっていました。
その様子は@prelegalさんがまとめて(twitterのポストをまとめることはトゥギャると呼ばれています)くださったので、その内容を見たい方はこちら:title=こちら]をご覧ください。民法とは何かから民法典の概説、基本的な概念の解説、そして特別法(消費者契約法・特定商取引法など)の紹介、さらには問題演習から民法の勉強の仕方まで、盛りだくさんの内容となっています。
ノート術としての「tsudaり」
上記のまとめの中にも少し書いてあるのですが、「tsudaる」というのは、講演会や講義など人の話を聞いたものをまとめ、かつ理解・記憶するための方法としては非常に有効です。理由は3つ。
順番に書いていきます。
1.講演・講義の内容をある程度理解していなければ、tsudaることができないから
特に専門的な内容の講演・講義であればこの傾向は顕著になります。話を聞いてぱっと出力しないと、どんどん講演者は先に行ってしまいます。「えーと、今言っていることはどういうこと?」などと考えていては一瞬で置いていかれます。
ですから、講演者がしゃべっていることを大体でもいいから事前に理解していないと、10分でtsudaりは崩壊するでしょう。したがってもし大学の講義をtsudaろうと思うのであれば、その授業の予習は必須です。
逆に先生が学生に自分の講義をtsudaらせて、後で先生がそれを見て理解度を見るというのも面白いかも知れません。ただし、5type/秒程度のタイプ速度が必要ですけれど。
2.tsudaるためには頭の中での編集作業が必要だから
よほどタイプが速い人ならともかく、普通は人がしゃべっている内容を全部タイプするのは物理的にほぼ不可能です。テープ起こしをやってみたらわかると思います。そして、講演・講義の内容を丸ごとそのままtsudaる=twitterで公開するというのは、著作権法的にも問題があります。さらに、twitterには140字という制限がありますから、この制限内に収まるようにしなければなりません。
そこで、「tsudaる」という行為は
という脳内のプロセスを経る必要があります。
何をtsudaるかを取捨選択するためには、「今話されていることは重要なことか?」という判断が必要になりますし、リアルタイムで追いつけるスピードでタイプしながら講演者の話す内容をまとめていくのは、非常に集中力がいります。また、そもそも何を話しているのか全く理解できなければ、そもそもtsudaることはできません。
こうして入力と出力を高速で行うことで、理解・記憶を非常に効率的に行うことができます。
3.「誰かが見てくれている」という意識が「tsudaり」へのポジティブなインセンティブになるから
「tsudaり」はtwitterで公開しますから、自分の書き込んだ内容は必ず誰かのタイムライン上に現れます。すると、誰かが見てくれていることにより認知欲求が充たされますからもっと頑張ってtsudaろう、という気になります。誰かからRTされたりコメントが返ってきたりなどして何かしら反応があるとなおさらです。
さらに、tsudaっている途中は自分の書き込みを見ている人のことを意識しますから、できるだけ人にわかるように書こうという意識が働きます。これは手で書くノートにはないメリットです。
以上の3つの理由から、「tsudaり」は非常に知的効率性の高いノート術だと思っています。
「tsudaり」のコツ
「tsudaり」にはいくつかコツがあるので、列挙してみます。
1.しゃべっていることを全部tsudaろうとしない
理由は上記の2番目に書いたとおりです。
2.キーワードを押さえる。特に「〜とは××である。」の〜と××の部分。
講義・講演というのは基本的に何かを説明する場です。ですから、その「何か」と「説明」の部分は必ず押さえましょう。数字が出てくる場合には数字を押さえると、あとで読み返したときにわかりやすくてよいです。
3.今何について話しているかを意識する→結論は何かを押さえる
今何を話しているのかがわからないと、そもそも要約することさえできません。また、結論というのは最も重要な部分ですから、ここは押さえましょう。講演者が下手くそで「結局何が結論かわからない」ということもありますが、自分から「この話の結論は何?」と考えながら聞くことは大切です。もしわからなければ、あとで講演者に「結局あの話の結論はなんだったんですか?」と質問してください。
4.理解できなくてtsudaれなかったところは、「ここはわからなかった」とtsudaっておく
特に大学の講義などをtsudaるのであれば、「どこがわからなかったか」をログとして明示的に残しておくのは非常に役に立ちます。あとで調べることもできますし、質問してフォローすることもできるからです。
「tsudaり」の注意点
ただし、「tsudaり」は全世界に講演・講義の内容をだだ漏れさせてしまうものですから、特に有料の講演会であったり、授業料を払って聞く大学の講義などをそのまま公開するのはマナー的に問題があるように思います。
したがって、事前に講演者・先生の了解を取っておくか、アカウントを非公開にして*1その授業を取っている人だけでフォローし合う、といった配慮はした方がよいと思います。
大学の講義であれば、3人が同時に同じ講義をtsudaれば、ほぼ完璧なノートができると思います。togetterでまとめておくと、見返すのに便利ですね。
まだ新学期は始まったばかり。今年の講義では「tsudaりノート術」を試してみられてはいかがでしょうか?