あなたは、ターニングポイントの向こうの世界を見ていますか?


こんな記事を見つけました。

恐ろしいのは円高でもデフレでもない | エコノMIX異論正論 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト: http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2010/10/post-235.php


はてなでおなじみ池田信夫氏のコラムです。ぜひ一読いただければと思いますが、要約すると「今の円高は円に価値があるから買われているわけではなく一時的に逃避先となってバブルになっているだけ。国債が買われなくなって利率が上がり、それに引きずられて悪性インフレが発生すれば一斉に国債価格・株・円が暴落する」といったものです。

文中に外資系銀行のファンドマネージャーが「われわれは今みたいな金利で絶対にJGB(日本国債)を買いませんよ」と言っているところがありますが、日本国債の買い手は94%が日本の金融機関と個人であり、別に外資の方々に買ってもらわなくても今のところは何とかなって(しまって)います。しかし、日本の金融機関も国債を買わなくなったらどうなるか?
大雑把に言うと、国債が買われなくなれば、買ってもらえるように国債の利率が上がります。するとそれに連動して銀行の貸付金利も上がります。当然変動金利の住宅ローンの毎月の支払いは増えますし、企業も借り入れが苦しくなります。
このような状況下で、何かのきっかけで(たとえば戦争が起こって輸入品のコストが急騰)日本国内でインフレが発生すればどうなるか?

以上のようなストーリーは、ありえないものだと思いますか?


ところで、昨日ドル円は一時80円台を付け、15年ぶりの円高となりました。マスコミも猫も杓子も円高円高と言っています。
しかし気になるのは、「誰も円安に転換するときのことを言わない」ということです。

これは、1995年に79円台をつけたときのチャートです。





史上最安値をつけたあと、わずか5ヶ月で79円75銭から104円80銭と25円の円安ドル高。その後3年で147円71銭まで行きました。
少なくとも日本は過去に一度、円高から円安への急激な転換というものを経験しているわけです。

最近は誰も彼もが円高だ、日銀は無能だ、早く円高対策をしろ、と言っているわけですが、はたして円高から円安に転換したときのことを考えている人はどれくらいいるでしょうか?
1929年の世界恐慌の直前、ウォール街の靴磨きの少年が投資を薦めた事から不況に入る日は近いと予測し、暴落前に株式投資から手を引いた投資家がいたという有名なエピソードがあります。今はまさにこのような状態ではないのでしょうか?


国債価格ははたして本当に暴落するのか、いつ円高から円安に転換するのかといった先のことを予測することは不可能です。しかし過去と現在の材料から、どのようなことが起こりうるかを予測することは可能です。その予測に基づき、「どんなことがあっても対応できる状態を自ら作れること」が現在求められていることなのではないでしょうか。

円高の話で言えば、たとえば余裕資金だけでも今のうちに外貨に換えて海外に置いておき、国債の暴落と円安に転換したときに備えておく。余裕資金ですから基本的に何かがあったときしか必要ないので、仮にさらに円高が進んだとしても日本円に換えずにそのまま放置しておけばいい。すなわち、「円高になっても円安になっても困らない体制にしておく」ということです。


「リスク分散が重要」と言っている人は結構いますが、実際にそれを実行している人はあんまりいません。するとしてもパソコンのデータのバックアップくらいではないでしょうか。

データのみならず、生きていくため自分に関するいろんなことを自ら冗長化できる能力が必要となりつつある時代になっていると思います。